コンクリートの劣化原因

主な原因は毛細孔(多孔質体)の存在や細孔溶液の存在です。大気中の水分・二酸化炭素・塩化物イオン等の劣化因子が毛細孔等から浸入し細孔溶液を媒体にして、化学反応及び拡散するからです。水を撥水するだけではコンクリートの劣化を抑制することはできません。毛細孔を緻密にし、細孔溶液を減少させることが、重要となります。特に孔径が50nmよりも大きな(マクロ孔)場合は劣化因子の侵入がしやすく問題となる孔と言われています。

コンクリートの劣化の種類

塩害

塩害は、コンクリート中に浸透した塩化物イオンによって生じる鉄筋コンクリートの劣化のひとつです。内的要因に製造時に塩化物イオンが混入します。外的要因は硬化コンクリートに海水等塩害環境での暴露、凍結防止剤の散布等による外部から塩化物イオンが侵入します。表面に付着した塩分が、塩化物イオンとして次第に内部に浸透して鉄筋位置に到達し、塩化物イオン量が一定以上を超えると鉄筋の不動態被膜を破壊して鉄筋を腐食させます。中性化と同様に鉄筋軸方向のひび割れやはく離・はく落、鉄筋露出などを起こします。

中性化

中性化は、コンクリート構造物の空隙(細孔)から二酸化炭素が侵入し、アルカリ性が低下して中性に近づく現象を言います。硬化したコンクリートは、セメントの水和反応により生じる水酸化カルシウムを多量に含むため強アルカリ性です。そのpHは、12~13程度ですが、pH10程度以下になると内部の鉄筋が酸化腐食反応が促進されてしまいます。炭酸化、酸性雨、酸性土壌・水との接触、火災の熱、化学物質の影響などが挙げられますが、主に、空気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムが反応して起こる炭酸化です。塩害と同様に鉄筋軸方向のひび割れやはく離・はく落、鋼材の断面減少などを起こします。

凍害

凍害は、寒冷地において、コンクリート中の水分が凍結により膨張することによって発生し、長年に渡り外気温差や日射による影響を受け、凍結と融解を繰り返すことにより徐々に劣化する現象を言います。内部に侵入した水は、凍結するときに、約9%の体積膨張をします。水は氷よりも体積が大きく、融解の際に膨張し、コンクリートに引張力を発生させることでひび割れ、スケーリング、ポップアウトを発生させます。

アルカリシリカ反応(ASR)

アルカリシリカ反応は、コンクリート中に含まれるアルカリ反応性骨材がコンクリート中のアルカリと長期にわたって反応し、膨張性のゲルを生成し、骨材が異常膨張することでひび割れ等の変状を発生させる反応。アルカリ骨材反応とも言われます。雨水や地下水などの水が供給されると、アルカリシリカゲルと水が反応して膨張性のゲル生成し膨張します。この膨張によって亀甲状の膨張ひび割れが発生。アルカリシリカゲルの漏出や硫酸イオン反応により、褐色から白色に変色し、景観上の不具合を生じます。

化学的劣化

下水処理施設などから生じる硫酸塩や、めっき工場などで使用される強酸、温泉地などの酸性水などにより、コンクリート表面が徐々にぜい弱化する現象です。もともと高アルカリのセメントコンクリートは酸に弱いため、酸に触れる場合は耐酸性の材料で被覆するなどの対策が必要です。

コンクリート中の細孔構造

インナーコート、RCGインナーシリカを塗布することによってこのマクロ孔以上の孔を無害な孔に変化させることによって劣化因子の侵入を抑制します。

コンクリート毛細孔を拡大しての劣化イメージ

◎水分、塩化物イオン、二酸化炭素は毛細孔から侵入する。
◎塩化物イオンは細孔溶液を媒体に内部へ濃度拡散により移動する。
 二酸化炭素は細孔溶液(水酸化カルシウム)と反応し炭酸カルシウ
 ムに変化(中性化・炭酸化)これにより内部の鋼材を保護している
 不動態被膜が消失し腐食する。